ランニングシューズのかかとがゆるいと、走り出した直後から気になる人もいれば、数kmたって汗をかいてから急に浮きを感じる人もいます。
しかも厄介なのは、つま先には十分な余裕があり、サイズ表記だけを見ると合っているように見えるのに、かかとだけが落ち着かないケースが少なくないことです。
この状態を放置すると、靴ずれやマメができるだけでなく、着地のたびに足が前後へ微妙に動くため、ロードでは接地の安定感が落ちやすく、トレイルでは下りや横方向のブレで不安が大きくなります。
この記事では、ランニングシューズのかかとがゆるいときに最初に見直すべき点、サイズ以外に疑うべき原因、買い替え前にできる調整法、そして次の一足で失敗しにくくなる選び方まで、ロードランにもトレイルランにも共通する視点で丁寧に整理します。
ランニングシューズでかかとがゆるいときの結論
先に結論を言うと、かかとのゆるさを感じたときは、いきなりサイズ違いだと決めつけるのではなく、まず正しい履き方とひもの締め方を見直すのが最優先です。
それでも浮きや擦れが消えない場合は、長さではなく足囲や甲のボリューム、かかとの形、シューズのヒールカップ形状が合っていない可能性を考えるべきです。
目安としては、つま先には指が動く余裕を残しつつ、かかとは滑らず、甲は締まりすぎない状態が理想であり、この三つのバランスが崩れるとかかとだけが落ち着かない感覚につながります。
まず疑うべきはサイズのズレ
かかとがゆるいときに最初に見るべきなのは、単純なサイズアップではなく、足長に対して足囲や甲の高さが合っているかという全体のバランスです。
つま先に余裕を確保しようとして必要以上に長いサイズを選ぶと、前足部は楽でも足全体が前後に遊びやすくなり、結果としてかかとが浮いてしまいます。
| 症状 | 起こりやすい原因 | 最初に試すこと |
|---|---|---|
| 歩くとすでにかかとが抜ける | 足長が長すぎる | 同モデルのハーフサイズ下を確認する |
| つま先は快適なのに後ろだけ浮く | 足囲やかかと形状の不一致 | 幅違いか別ラストを試す |
| 走ると前へ滑ってかかとが擦れる | ひもの締め方が甘い | かかとを合わせて締め直す |
| 片足だけ浮きやすい | 左右差やフォーム差 | 小さい足側の固定方法を見直す |
ブランドのフィットガイドでも、つま先には親指幅程度の余裕を残しつつ、かかとは滑らずぴったり収まることが重要とされており、前後どちらか一方だけを優先すると失敗しやすくなります。
特に前足部が広い人は、長さで逃げるより、同じ長さのまま幅展開や別ラストを試したほうが、かかとの不安定さを増やさずに解決できることが多いです。
また、左右の足で大きさが違う人は珍しくないので、大きい方に合わせつつ、小さい方はひもの通し方やソックスで微調整する考え方が現実的です。
かかとを合わせてから締める
サイズが合っているシューズでも、足を入れた直後にかかとが奥まで収まっていないまま締めると、後ろに隙間が残ってしまい、履き心地だけでなく走行中の安定感まで落ちます。
まずはひもをしっかり緩めて足を入れ、床に軽くかかとを当てて後ろへ収めてから、つま先側の穴から順番に締めていくのが基本です。
この手順を飛ばして上だけを引っ張ると、甲には圧がかかるのにかかとが固定されないという、もっとも失敗しやすい状態になりがちです。
締めるときは前足部を必要以上に圧迫せず、中足部を包むように整え、最後に履き口付近を軽く引いて後足部を落ち着かせる意識を持つとまとまりやすくなります。
試着時は歩くだけで終えず、片足立ちや軽い足踏み、小走りまで行うと、静止状態ではわからないかかとの遊びを確認しやすくなります。
トレイル用シューズでは下りで症状が出やすいため、店頭でも前に体重を移す動作をして、後ろが抜ける感じがないかを必ず確かめたいところです。
ヒールロックを試す
シューズの長さそのものは悪くないのに、後足部だけが落ち着かない場合は、上部の余り穴を使うヒールロックを試す価値があります。
これはランナー向けの定番の結び方で、足首周辺にループを作って引き込むことで、かかとの上下動を減らし、靴ずれや浮きを抑えやすくする方法です。
- 最後の一つ手前まで通常通りに通す
- 最上部の穴に同じ側から通して小さな輪を作る
- 左右のひも先を反対側の輪に通す
- 輪を締めてから通常通りに結ぶ
ただし、強く締めればよいわけではなく、締めすぎると足首前面や甲に圧が集中し、しびれや痛みの原因になるため、引いた瞬間にきつさを感じるならやりすぎです。
ヒールロックはあくまで軽度の浮きに有効な調整法であり、これをしても毎回大きく抜けるなら、根本的にはシューズ形状が足に合っていない可能性が高いと考えられます。
逆に、ヒールロックで不快感なく浮きだけが減るなら、買い替えを急がずに使い続けられるケースもあり、まず試すべき対処として優先度は高めです。
甲だけ締めて解決しようとしない
かかとを止めたい一心で甲の中央部分だけを強く締める人は多いのですが、このやり方は一時的に固定された気がするだけで、根本解決にならないことが少なくありません。
後足部の浮きは後ろ側の収まりや履き口周辺の保持力に関わる問題なので、中足部を過剰に圧迫しても、足の前滑りやかかとの上下動を十分に抑えられないことがあります。
むしろ、甲にだけ強いテンションがかかると、足背の圧迫感、しびれ、足趾の動かしにくさが出やすくなり、快適さもパフォーマンスも落ちてしまいます。
大切なのは、前足部、中足部、履き口の三つを別々に整える感覚で、全体を均一に締めるのではなく、必要な場所に必要な圧だけをかけることです。
走っていて甲の中央が痛い、ひも跡が深く残る、足先がじんじんするという症状があるなら、かかとのゆるさを誤った方法で埋めようとしている可能性が高いです。
シューズは履いた瞬間から大きく外れていないことが理想なので、締め方を工夫しても違和感が強いなら、そのモデルとの相性自体を疑うほうが近道です。
かかとの形と履き口の相性
足のかかとの形は人によってかなり違いがあり、細い人もいれば丸みが強い人もおり、アキレス腱周辺の出っ張り方やくるぶしの位置にも個人差があります。
一方で、ランニングシューズ側も、履き口の厚み、ヒールカップの深さ、ヒールカウンターの硬さ、アキレス腱周辺のカーブの取り方がモデルごとに大きく異なります。
このため、同じサイズでもあるモデルでは吸い付くように収まり、別のモデルではかかとだけが泳ぐという現象が普通に起こります。
前足部が広く、かかとが細い足型の人は特に、ワイドモデルで前を楽にすると後ろが余りやすくなるため、幅だけで選ぶと失敗しやすくなります。
逆に、かかとを強く締めたいからと極端に硬いヒールカウンターを選ぶと、輪郭が合わない場合には擦れや局所的な痛みが出るので、硬ければ正解とも言い切れません。
片足だけいつも抜けやすい場合は、左右差や走り方のクセが影響していることもあるので、シューズだけの問題だと思い込まずに観察する視点も必要です。
ソックスとインソールの影響
かかとのゆるさはシューズ本体だけで決まるわけではなく、ソックスの厚みや滑りやすさ、インソールの高さや位置のズレによっても体感がかなり変わります。
たとえば厚手のソックスで隙間を埋めようとしても、かかと部分が足に合っていない靴下だと、生地が寄って逆に擦れやすくなることがあります。
また、別売りインソールを入れると足全体の位置がわずかに上がり、履き口との当たり方やアーチ位置が変わって、以前は気にならなかったかかとの浮きが出ることもあります。
| 調整要素 | 期待できること | 注意点 |
|---|---|---|
| やや厚手のソックス | 軽い隙間を埋めやすい | 蒸れや生地のたまりに注意 |
| 滑りにくいランニングソックス | 前後のズレを減らしやすい | サイズが合わないと逆に擦れる |
| 交換用インソール | 足入れ感を微調整できる | アーチ位置のズレに注意 |
| 古い純正インソールの交換 | 本来の収まりを戻しやすい | 左右差があるなら片方だけは避ける |
調整するときは、ひも、靴下、インソールを一度に全部変えるのではなく、一つずつ試して何が効いたのかを見極めたほうが失敗しにくくなります。
汗をかくほど滑りやすくなる人は、吸汗性やフィット感の高いランニングソックスに替えるだけで、かかとの落ち着きが改善することもあります。
走る場面で緩み方が変わる
店で少し歩いただけでは問題が出ないのに、実際のランでだけかかとがゆるく感じる場合は、いつ、どの動きで症状が出るのかを切り分けると原因を絞り込みやすくなります。
ジョグでは平気でも、ペースを上げた瞬間に浮くなら、接地衝撃や蹴り出し時の足の前後動に対して、後足部の保持が足りていない可能性があります。
トレイルでは登りより下りで違和感が強くなることが多く、これはブレーキ動作で足が前へ寄りやすく、かかとが持ち上がるからです。
レース用の軽量モデルは、日常のジョグ用より履き口やヒール周りの作りがシンプルなことも多く、同じサイズ感でもホールドの印象が変わりやすいです。
走り始めは問題なく、足がむくみ始める後半だけ気になるなら、試着時間やソックス選び、サイズ感の余白が実際の使用環境に合っていない可能性があります。
不調が出るタイミングを記録しておくと、単なるサイズ不良なのか、場面限定の調整不足なのかが見えやすくなり、次の対策が打ちやすくなります。
かかとが浮く原因を見分ける視点

かかとのゆるさを減らしたいなら、症状そのものだけでなく、足とシューズのどこにズレがあるのかを分けて考えることが重要です。
ここを曖昧にしたまま対策を重ねると、厚いソックスに替え、ひもをきつく締め、さらにインソールを入れて、別の痛みを増やす悪循環に入りやすくなります。
見分け方のコツは、サイズ表記ではなく、足型、走り方、シューズ設計、症状の出る場面の四つを並べて整理することです。
サイズだけでは説明できない
同じ26.5cmでも、ブランドやモデルが変わると、つま先の余裕、甲の圧、履き口の当たり方は大きく変わるため、表記サイズだけでは相性を判断できません。
とくにアッパー素材が柔らかいモデルや、履き口が低めのスピード系モデルは、最初は問題なくても走行中に足が動きやすくなり、かかとの遊びが目立つことがあります。
逆に、数字上は同じでも、ヒールカップが深く、後足部を包む設計のモデルでは、つま先に同じくらいの余裕があっても安心感がまるで違います。
つまり、かかとのゆるさはサイズの大小というより、足の輪郭とシューズの立体形状がどれだけ重なるかで決まりやすい問題です。
普段快適に履けているモデルがあるなら、その靴の足長、幅、履き口の感覚を言語化しておくと、次の試着でも比較の軸がぶれにくくなります。
数値を追うだけでなく、どのシューズでどんな違和感が出たかを覚えておくことが、合う一足を見つける近道になります。
足型とシューズ設計の差を整理する
原因を早く見つけたいなら、自分の足の特徴と、シューズ側の設計差を表にして考えると混乱しにくくなります。
かかとが細い、甲が低い、前足部だけ広い、着地で内側に倒れ込みやすいなど、特徴ごとに合いやすい作りは変わります。
| 足の特徴 | 起きやすいミスマッチ | 見直したいポイント |
|---|---|---|
| かかとが細い | 後足部だけ遊ぶ | 深めのヒールカップとヒールロック |
| 前足部が広い | 長さで逃げて後ろが余る | 幅展開や別ラストを優先する |
| 甲が低い | 全体が締まりにくい | ひも調整と中足部の包み込みを確認する |
| 倒れ込みが大きい | 着地で後足部がぶれやすい | 安定性のあるモデルも候補に入れる |
アーチ位置がシューズやインソールと合っていない場合も、足が一歩ごとに前後へ微妙に移動し、その結果としてかかとの擦れが起きることがあります。
また、着地のブレが大きい人は、単にヒール周りを締めるより、ソールベースが安定したモデルやサポート性のある設計を選んだほうが収まりやすいことがあります。
足型の悩みと走り方の悩みを分けて考えるだけでも、選ぶべき方向性はかなり明確になります。
痛みの前兆を見逃さない
かかとのゆるさは、いきなり大きな靴ずれになる前に、小さな前兆として現れることが多く、ここで気づけるかどうかが大切です。
履き慣れるまで我慢しようと考えると悪化しやすいため、走り始めの数分で出る違和感を軽く見ないほうが安全です。
- かかと周辺が熱を持つように感じる
- 赤みが出るが水ぶくれまではいかない
- 下りで足が前へ詰まる感覚がある
- ひもを締めるほど甲が痛くなる
- 片足だけ毎回同じ場所が擦れる
これらはまだ対処しやすい段階なので、靴下の変更や締め方の修正、別サイズの再確認を行うにはちょうどよいサインです。
逆に、毎回同じ場所にマメができる、爪先まで前に滑る、走りながら結び直したくなるという状態なら、調整だけで済まない可能性が高まります。
快適なランニングシューズは、履いた瞬間から大きな違和感がないものなので、最初の小さな異変を見逃さないことが結果的に遠回りを防ぎます。
緩さを減らす履き方と調整法
ここでは、買い替えの前に実践しやすく、なおかつ失敗しにくい調整法を順番に整理します。
大切なのは、何となく思いついた方法を全部盛りするのではなく、効きやすい順に一つずつ試し、変化を確かめることです。
かかとのゆるさは小さなズレの積み重ねで起きることが多いので、地味な調整でも意外と大きく変わる場合があります。
試着は夕方に行う
ランニングシューズの試着は、朝一番よりも、足がやや大きくなっている夕方や、軽く歩いた後のほうが実戦に近い感覚をつかみやすくなります。
日中の活動やランニング後には足が少しむくむため、朝の細い状態でぴったりだと、走行時には前足部だけでなく後足部の収まりも変わってしまうことがあります。
いつも使うランニングソックスを持参し、店頭で片足立ちや軽い足踏みをして、静止時と荷重時の違いを比べると失敗しにくくなります。
オンラインで購入する場合でも、受け取ってすぐ朝に判断するのではなく、夕方や運動後に足を入れて感覚を確認したほうが現実的です。
とくにフルマラソンやロングトレイルのように長時間履く用途では、最初の数分より後半の状態を想定したフィット確認が重要になります。
試着のタイミングを変えるだけで印象が逆転することもあるため、サイズに迷ったときほど時間帯の差を軽視しないようにしましょう。
ソックスとインソールを一度に変えない
調整を始めると、滑りにくいソックスに替え、別売りインソールを入れ、ひもの結び方まで同時に変えたくなりますが、これでは何が効いたのかわからなくなります。
基本は、履き方の見直し、ヒールロック、ソックスの変更、インソールの見直しの順で、一つずつ試していくのが安全です。
- 最初に履き方とひもの締め順を修正する
- 次にヒールロックで後足部の保持を高める
- それでも残る軽い隙間はソックスで確認する
- 最後にインソールで体積や支え方を見直す
厚いソックスは軽いゆるさには役立ちますが、大きすぎるサイズ差を埋める方法ではないので、効かなければ無理に使い続けないことが大切です。
インソールも便利ですが、アーチサポートが合わないと別の擦れや違和感が出やすいため、かかとだけを見るのではなく足裏全体で判断する必要があります。
一つ変えるごとに短い距離で走って記録を残しておくと、再現性のある調整法かどうかを見極めやすくなります。
締め方の順番を決める
かかとのゆるさを減らしたい人ほど、毎回適当に締めるのではなく、自分なりの締める順番を固定したほうが結果が安定します。
順番が毎回違うと、その日の感覚に合わせてきつくしたり緩めたりを繰り返し、結局どこが原因なのか見えにくくなります。
| 順番 | 意識したいこと | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1 | かかとを奥へ合わせる | 後ろに隙間が残っていないか |
| 2 | つま先側から順に整える | 足趾が動く余裕があるか |
| 3 | 中足部を包むように締める | 甲が苦しくないか |
| 4 | 履き口周辺を仕上げる | かかとが上下しないか |
| 5 | 歩行と小走りで再確認する | 局所的な痛みがないか |
この流れを決めておけば、違和感が出たときにも、どの段階で崩れたのかを把握しやすくなり、締めすぎの場所も見つけやすくなります。
もし足首周辺が窮屈に感じたら、全部を緩めるのではなく、一番上だけ少し戻すなど、部分的な調整で済ませるとバランスを崩しにくいです。
毎回同じ手順で履くことは地味ですが、かかとのゆるさに悩む人ほど効果が安定しやすい実践的なコツです。
かかとがゆるい人のシューズ選び

調整しても限界がある場合は、次に選ぶシューズの方向性を変える必要があります。
そのとき重要なのは、単に小さくすることでも、人気モデルを選ぶことでもなく、自分の足で浮きやすい理由に合った作りを選ぶことです。
ここでは、かかとの収まりを重視したい人が店頭やオンラインで見落としやすいポイントを整理します。
ヒールカップ形状を見る
かかとがゆるい人は、クッション量や重量より先に、ヒールカップの深さと形、履き口のカーブ、後足部の包み込み方を見る意識を持つと失敗しにくくなります。
ヒールカウンターはシューズ後部の形を保ち、後足部の安定に関わる要素なので、柔らかすぎると不安定になりやすく、逆に硬すぎると輪郭が合わない人には擦れやすくなります。
見た目に厚いパッドが入っていても、カップが浅い、履き口が広い、アキレス腱周辺の切り込みが合わないと、安心感ほど保持されないことがあります。
日常のジョグ用や安定系のモデルは、レース用より後足部の作りがしっかりしていることが多いため、かかとの浮きに悩む人の基準づくりには向いています。
店頭では、かかと部分を軽く押して硬さを見るだけでなく、実際に足を入れて前足部と後足部の両方が同時に落ち着くかを確認することが欠かせません。
かかと周りだけ妙に余るモデルは、ほかの性能が良くても長い目で見ると使いにくいので、最初の段階で候補から外す判断も必要です。
ワイド表記を鵜呑みにしない
前足部がきつい人にとってワイド展開は魅力的ですが、ワイドなら必ず快適とは限らず、後足部まで全体的にゆるくなってしまうこともあります。
ブランドによっては、同じワイドでも前足部だけ広いもの、甲まで高く感じるもの、全体のボリュームが増えるものがあり、体感はかなり違います。
| 悩み | 選び方の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 前足部だけ圧迫感がある | 同サイズの幅違いを先に試す | 長さを上げる前に比較する |
| 甲も低くて全体が余る | 標準幅で締め方を見直す | ワイド化で後ろが緩みやすい |
| かかとが細く前足部が広い | ラストの相性を重視する | 幅だけでは解決しにくい |
| サイズの中間で迷う | 幅違いとセットで比較する | 単純なサイズアップは避ける |
ワイド表記に頼りすぎると、前だけ楽で後ろが泳ぐ典型的な失敗に陥りやすいため、必ずかかとのロック感まで同時に見なければいけません。
近年は同じシリーズでもナロー、スタンダード、ワイドなど足囲展開があるモデルも増えているので、長さで逃げずに幅違いを比較する価値は高いです。
とくにマラソン練習用は長時間履くため、前足部の快適さとかかとの安定感を両立できる幅選びが結果的に一番満足度を上げます。
レース用と普段用を同じ基準にしない
レース用シューズは軽さや推進力を優先した設計が多く、ジョグ用やロング走用より履き口や後足部の作りがシンプルで、かかとの感覚も変わりやすい傾向があります。
そのため、普段からかかとのゆるさに悩んでいる人が、日常履きで不安定なのにレース用でさらに改善を期待するのは現実的ではありません。
- ジョグ用は安定感と包み込みを基準に選ぶ
- テンポ用は軽さと固定感のバランスを見る
- レース用は本番前に長めの実走で確認する
- トレイル用は下りでの前滑り対策を重視する
フルマラソン本番で使う一足は、短時間の試し履きではなく、ロング走やペース走で後半にかかとが浮かないかまで確認してから決めるべきです。
トレイルでは路面の傾きや横ブレが加わるため、ロードで問題ないモデルでも、山では後足部の不安定さが強く出ることがあります。
用途ごとの基準を分けて考えることで、見た目や流行だけで選んで失敗する確率を大きく下げられます。
買い替えを判断する基準
かかとのゆるさは調整で解決できることもありますが、シューズ自体の寿命や形崩れが原因なら、いくら工夫しても戻りません。
この見極めを誤ると、まだ使える靴を早く手放すこともあれば、逆に限界を超えた一足を無理に履き続けてトラブルを増やすことにもつながります。
最後に、調整で済むケースと、モデル変更や買い替えを考えるべきケースを整理します。
調整で改善するケース
履き方を直した瞬間にかかとの浮きがかなり減る、ヒールロックで上下動が落ち着く、ソックス変更で擦れが軽くなるといった場合は、まだシューズ自体の相性は大きく外れていない可能性があります。
また、アッパーや履き口に目立つ破れがなく、ヒール周辺のクッションがへたっていないなら、使い方の微調整で十分に快適域へ戻せることもあります。
走り始めだけ少し気になるが、正しく締めると消えるような症状なら、買い替えより先にルーティンを固めるほうが効果的です。
改善の有無は、一度の感覚ではなく、数回のランで同じ結果が出るかどうかで判断するとぶれにくくなります。
とくに新しいシューズへ替えた直後は、以前の締め方のままでは合わないこともあるので、モデルごとに最適な調整を見つける意識が大切です。
快適な状態が数回続くなら、その一足はまだ現役として使える可能性が高いでしょう。
モデル変更が必要なケース
正しい履き方をしても毎回かかとが抜ける、ヒールロックを使うと甲や足首が痛くなる、同じ場所に繰り返しマメができる場合は、シューズの構造そのものが合っていない可能性が高いです。
さらに、履き口の内側が擦り切れている、ヒールカウンター周辺が型崩れしている、ソールの減りが偏っているといった症状があれば、物理的に保持力が落ちていることも考えられます。
- 何度調整しても後足部の浮きが消えない
- 締めるほど甲や足首に別の痛みが出る
- 片側だけ極端に履き口が傷んでいる
- 下りや後半だけでなく常に前滑りする
- かかと周辺の擦れが毎回同じ場所に出る
シューズ寿命の目安として走行距離約500km前後が挙げられることもあり、距離や保管年数が進んでいるなら、調整より買い替えのほうが合理的な場合があります。
購入から何年も経っている一足は、見た目が無事でも素材の劣化でホールド感が落ちることがあるため、思い入れだけで使い続けない判断も必要です。
かかとのゆるさが以前はなかったのに最近増えたなら、足の変化だけでなく、シューズ側の消耗を疑う視点を持ってください。
店頭で確認したい質問項目
買い替えると決めたら、店員にただ「かかとがゆるいです」と伝えるだけではなく、どんな場面でどう感じるのかまで具体的に話すと、候補を絞りやすくなります。
ロード中心か、トレイルも走るか、フルマラソンに使いたいか、今のサイズでどの位置が余るかを説明すると、必要な機能が明確になります。
| 店頭で伝えたいこと | 伝える理由 | 試着時の確認 |
|---|---|---|
| いつ浮くか | 歩行時か走行時かで原因が違う | 歩きと小走りの両方を試す |
| どこが痛いか | 擦れか圧迫かで対策が変わる | 局所的な当たりを確認する |
| ロードかトレイルか | 求める固定力が変わる | 下りを想定した動きも試す |
| 現在のサイズと不満 | 長さか幅かの判断材料になる | サイズ違いと幅違いを比べる |
試着では同モデルの前後サイズだけでなく、同じ長さの幅違い、安定系とニュートラル系の差も比べると、思い込みが外れて選びやすくなります。
トレッドミルや段差が使える店なら、平地感覚だけで決めず、実際に前へ体重を移したときのかかとの収まりまで確認するのがおすすめです。
質問の質が上がると、買い物の精度も上がるので、事前に自分の症状を言葉にしておくこと自体が有効な準備になります。
かかとのゆるさを残さないために押さえたいこと
ランニングシューズのかかとがゆるいときは、サイズが大きいと即断せず、まずはかかとを奥へ合わせてから順番に締める履き方、そしてヒールロックのような基本調整を丁寧に試すことが出発点になります。
そのうえで、長さだけでなく足囲、甲の高さ、かかとの形、履き口やヒールカップの相性を見ないと、前足部の快適さとかかとの安定感が噛み合わず、いつまでも後ろだけ浮く状態から抜け出せません。
ロードでは着地のブレや靴ずれ、トレイルでは下りの前滑りとして症状が強く出やすいので、いつ、どの動きで不快感が出るかを記録しながら、ソックス、インソール、締め方を一つずつ検証することが大切です。
それでも改善しない場合や、履き口の傷み、繰り返すマメ、寿命による型崩れが見られる場合は、調整で延命するより、かかとの収まりを優先した別モデルへ切り替えたほうが、結果として気持ちよく長く走れる一足に近づけます。


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