フルマラソンのタイム計算を調べる人の多くは、サブ4を狙うべきか、完走重視で組み立てるべきか、今の走力でどこまで現実的なのかを早く知りたいはずで、この判断が曖昧なままだと練習内容も大会当日のペース設定もぶれやすくなります。
実際のタイム計算は複雑そうに見えて、目標タイムを距離で割って1kmごとの平均ペースを出し、その数字を5kmや10kmの通過目安に変換していく流れさえつかめれば、初心者でもかなり実用的に使いこなせます。
フルマラソンはWorld Athleticsが示す42.195kmの競技なので、計算の起点は必ずこの距離に固定し、気分で42kmや42.2kmに丸めず、最初に基準を正しく置くことが重要です。
この記事では、フルマラソンタイム計算の基本式、目標別のペース目安、5kmごとの見方、練習記録からの予想方法、そして当日の誤差をどう吸収するかまでを、ランニング実務にそのまま使える形で順番に整理します。
フルマラソンタイム計算の基本は目標タイムを42.195kmで割ること
フルマラソンのタイム計算で最初に覚えるべきなのは、どんな目標でも出発点は同じで、まず目標タイムを秒に直し、それを42.195で割れば、必要な1km平均ペースが見えるというシンプルな構造です。
ここが理解できると、サブ4やサブ3.5といった言葉を単なる憧れで終わらせず、1km何分何秒で押していくレースなのか、5kmをどのくらいで通過すべきなのかまで一気に具体化できます。
さらに、タイム計算を通過管理へ変える発想まで身につけると、時計を見るたびに一喜一憂するのではなく、全体計画の中で今どこにいるかを判断できるようになり、レース運びがかなり安定します。
計算式を先に覚える
フルマラソンタイム計算の基本式は、目標タイムを秒へ変換し、その合計秒数を42.195で割って1kmあたりの必要秒数を出すというもので、まずこの一手順だけを確実に覚えるのが近道です。
たとえば4時間を目標にするなら4時間は14,400秒なので、14,400÷42.195で約341秒となり、これを分秒へ戻すと1kmあたり約5分41秒という目安が出ます。
このやり方の良い点は、目標が3時間30分でも5時間でも同じ式で処理できることで、感覚や経験に頼らず、どの目標にも一貫した物差しを持てるようになる点にあります。
逆に、目標タイムだけを見て速そうだとか遅そうだと印象で判断すると、練習ペースや本番の入りが曖昧になりやすいので、まずは数字へ落とし込む習慣を先に作るほうが失敗しにくくなります。
1kmペースへ直す
目標タイムを1kmペースへ直す作業は、レース全体を日々のランニングで再現できる形に翻訳することでもあり、ここができるとジョグやペース走の意味づけが一気に明確になります。
たとえば3時間30分なら約4分59秒、4時間30分なら約6分24秒、5時間なら約7分07秒が平均ペースの目安になるため、自分が普段どの速度帯で練習できているかを客観的に比較できます。
この数字を見たときに、すでに余裕を持って会話できる強度なのか、10kmでも苦しい強度なのかを確認すると、目標が妥当か、それとも一段階下げたほうが現実的かの判断もしやすくなります。
なお、1kmペースはあくまで全体平均なので、序盤に人混みで数秒遅れたり、給水で一時的に落ちたりしても、すぐに焦って取り返そうとせず、数km単位で帳尻を合わせる見方が大切です。
5km通過へ落とし込む
フルマラソンタイム計算を実戦で使うなら、1kmペースだけでなく5kmごとの通過目安に必ず変換しておくべきで、そのほうが時計確認の回数が減り、精神的にもレースが安定しやすくなります。
考え方は単純で、1kmあたりの必要秒数に5を掛ければ5km通過の目安が出るため、4時間目標の約5分41秒ペースなら5kmは約28分26秒、10kmはその倍の約56分53秒になります。
5km単位の管理が有効なのは、多少の誤差を吸収しながら走れるからで、1kmだけ速すぎた、次の1kmで少し落ちたという揺れを細かく気にせず、全体の流れで判断できるようになるためです。
特に初マラソンや自己ベスト狙いの場面では、序盤から1kmラップだけを追い続けると周囲の流れに反応しすぎるので、5kmごとの大きな節目で冷静に現在地を確認する方法が扱いやすくなります。
ハーフ通過から逆算する
フルマラソンのハーフ地点は21.0975kmで全体のちょうど半分なので、イーブンペースを前提にするなら、総目標タイムの半分がそのままハーフ通過の基準になり、覚えやすい管理点として使えます。
たとえば4時間目標ならハーフは2時間ちょうど、4時間30分なら2時間15分、5時間なら2時間30分が基準となり、レース中盤で計画通りかを判断する大きな目安になります。
ただし、ハーフ通過が予定通りでも後半に大きく崩れるケースは珍しくなく、逆に少し遅れていても後半に落ち込まなければ挽回できるため、ハーフは合否判定ではなく修正の基準として使うべきです。
とくに30km以降に脚が止まりやすい人は、ハーフ通過をぴったり合わせること自体よりも、その時点で呼吸、脚の張り、補給の進み具合に余裕があるかをセットで見るほうが本番向きです。
サブ4とサブ3.5を数字で見る
目標を言葉ではなく数字で理解すると難易度の差が見えやすくなり、サブ4とサブ3.5の間には30分しか違いがないようでいて、1kmペースでは40秒以上の差があるため体感のギャップはかなり大きくなります。
また、同じ30分差でも後半に疲れが出るマラソンでは要求水準が単純加算より重く感じやすいので、目標設定の段階で自分が本当に維持できる強度なのかを慎重に見極める必要があります。
| 目標 | 1kmペース | 5km通過 | ハーフ通過 |
|---|---|---|---|
| 3時間00分 | 4分16秒前後 | 21分20秒前後 | 1時間30分 |
| 3時間30分 | 4分59秒前後 | 24分53秒前後 | 1時間45分 |
| 4時間00分 | 5分41秒前後 | 28分26秒前後 | 2時間00分 |
| 4時間30分 | 6分24秒前後 | 32分00秒前後 | 2時間15分 |
| 5時間00分 | 7分07秒前後 | 35分33秒前後 | 2時間30分 |
表を見ると、サブ4はジョグに近い余裕で走れる人もいれば閾値に近い人もいるので、数字が示す速さだけでなく、その速度を42.195km維持できるかという持久力の観点まで含めて考えることが欠かせません。
なお、ミズノのランニング解説でも目標タイムから1kmペースや通過目安へ逆算する考え方が紹介されており、タイム計算は練習と本番をつなぐ基礎資料として扱うのが実践的です。
余裕度を見込んで補正する
計算で出た平均ペースをそのまま絶対値として握ると、本番では補給や混雑やカーブの連続で苦しくなりやすいので、レース全体では数分の余裕幅を見込んだ設計にしておくほうが現実的です。
特に自己ベストを狙う局面でも、最初の5kmをきっちり平均どおりに走ろうとするより、わずかに抑えて身体を温め、後半に同じペースへ収束させるほうが成功率は高くなりやすいです。
- 混雑しやすいスタート直後は数秒遅れても許容する
- 給水所では無理に時計を守らず安全を優先する
- 暑さや向かい風が強い日は平均維持より失速回避を重視する
- 後半に余力があれば少しずつ上げる前提で組み立てる
この余裕度を持たせる発想は弱気ではなく、計算を現場で生きる数字へ変える調整であり、机上の完璧さより完走率や達成率を高めるための実務的な工夫と考えるべきです。
とくにフルマラソン未経験者は、目標タイムに対して序盤の数十秒の遅れを重大視しすぎないことが重要で、1kmごとの誤差よりも30km以降に大崩れしないことのほうが最終結果を大きく左右します。
計算と実走の差を埋める
フルマラソンタイム計算がうまく機能しないと感じる人の多くは、式の理解よりも、実際の大会で起きる細かなロスを計画へどう織り込むかの部分でつまずいています。
たとえばスタート地点を越えるまでのタイムロス、給水所での減速、折り返しや曲がり角で膨らむ走行ライン、そして終盤のフォーム低下は、どれも1km単位では小さく見えても積み重なると大きな差になります。
だからこそ、レース前には目標タイムだけでなく、どこで遅れてもよいか、どこは絶対に落としすぎないかという優先順位まで決めておくと、当日の判断がぶれにくくなります。
計算と実走の差を埋めるコツは、数字を固定値として扱うのではなく、前半、中盤、終盤それぞれで意味の違う目安として使い分けることで、これができると時計の数字に振り回されにくくなります。
目標タイム別のペース目安を先に決める

フルマラソンタイム計算を理解したら、次は自分がどのタイム帯を狙うのかを具体的に決める段階に入りますが、ここでは速い目標を選ぶことより、今の走力と大会条件に合った現実的な帯を選ぶことが重要です。
目標設定が曖昧なままだと、日々のポイント練習で速すぎる負荷をかけたり、逆に完走できるのに安全側へ寄せすぎて成長機会を逃したりするため、数字で帯を切る作業には大きな意味があります。
下の目安はあくまで基準ですが、1kmペースだけでなく10kmや30kmの通過も一緒に見ると、そのタイム帯が自分にとって余裕ある計画か、かなり挑戦的な計画かをつかみやすくなります。
主要な目標帯を一覧でつかむ
目標帯の全体像を先に把握しておくと、自分が今どこにいて、次にどのゾーンを目指すべきかが見えやすくなり、無理な背伸びや根拠の薄い下方修正を避けやすくなります。
特にサブ4やサブ5のような区切りは会話では便利ですが、実戦では10kmや30kmでどの位置にいなければならないかまで理解して初めて意味を持つので、通過も含めて押さえることが大切です。
| 目標 | 1kmペース | 10km通過 | 30km通過 |
|---|---|---|---|
| 3時間30分 | 4分59秒前後 | 49分46秒前後 | 2時間29分18秒前後 |
| 4時間00分 | 5分41秒前後 | 56分53秒前後 | 2時間50分38秒前後 |
| 4時間30分 | 6分24秒前後 | 1時間03分59秒前後 | 3時間11分58秒前後 |
| 5時間00分 | 7分07秒前後 | 1時間11分06秒前後 | 3時間33分18秒前後 |
| 5時間30分 | 7分49秒前後 | 1時間18分12秒前後 | 3時間54分37秒前後 |
30km通過を見ておく利点は、もっとも崩れやすい終盤を迎える前に計画との差を把握できる点にあり、ここで余裕がないのに目標だけを守ろうとすると残り12kmで一気に苦しくなりやすいです。
目標帯を選ぶときは、最終タイムの響きだけでなく、その30km通過が今のロング走やペース走の感覚と比べて現実的かどうかまで照らし合わせると、納得感の高い設定になります。
初心者が狙いやすい基準を持つ
初マラソンや経験の浅いランナーは、最初から派手な区切りを追うより、まず完走率を高めるタイム帯を選び、その中で余裕を持って走りきる感覚を身につけるほうが次の成長につながります。
制限時間が6時間前後の大会が多いことを考えると、完走重視なら5時間台から逆算する設計でも十分価値があり、後半に歩かず終える経験そのものが次のサブ5やサブ4.5への土台になります。
- 初完走を最優先するなら5時間〜5時間30分帯が組み立てやすい
- 30km以降も走り続けたいなら前半を抑える設計が向く
- 10kmの自己ベストだけで強気設定するのは避ける
- 練習で会話可能な速度帯が本番の目標と近いかを確認する
初心者が陥りやすいのは、短い距離での好調だけを頼りに目標を引き上げることですが、フルマラソンでは持久力と補給の上手さも結果を左右するため、走力だけでなく再現性で考えることが欠かせません。
完走重視の目標設定は消極策ではなく、後半の脚づくりや給水の経験を得るための戦略であり、最初の一回で成功体験を積めると、その後のタイム短縮もはるかに進めやすくなります。
キリの良い目標の選び方を知る
目標タイムは3時間58分のように実力どおりの数字でも問題ありませんが、練習計画や通過管理を考えると、4時間、4時間30分、5時間のようなキリの良い設定は覚えやすく実戦向きです。
キリの良い数字はハーフや10kmの通過も頭に残りやすく、時計を見るたびに複雑な再計算をしなくて済むため、特にレース経験が浅い段階では大きな武器になります。
一方で、自己ベスト更新を狙う中級者以上は、キリの良さより現実性を優先し、直近の練習や大会結果から4時間05分や3時間42分のような刻みで目標を置くほうが合う場合もあります。
大切なのは、見栄えのよい数字を選ぶことではなく、自分がそのタイム帯を再現可能かどうかを判断することであり、達成率の高い目標は結果として次の挑戦につながる強い土台になります。
レース当日に計算を使い切るコツ
どれだけ正確にフルマラソンタイム計算をしても、当日の走り方がちぐはぐだと数字は活きないので、本番では計算した平均値をどう配分し、どこで確認し、どこで誤差を許容するかまで決めておく必要があります。
とくにマラソンはスタート直後の高揚感でオーバーペースになりやすく、目標に対する意識が強いほど序盤の入りで失敗しやすいため、計算した数字を守るだけではなく扱い方まで準備することが大切です。
ここでは、入りの考え方、給水と補給の織り込み方、そして30km以降の失速をどう管理するかという三つの観点から、レース当日にタイム計算を成果へ変えるコツを整理します。
序盤は数秒抑えて入る
フルマラソンで最も多い失敗は、計算した平均ペースがそのまま序盤の目標ペースだと思い込むことで、実際にはスタート直後の混雑と高揚感を考えると、最初の数kmはやや抑えるほうが安定しやすくなります。
たとえば4時間目標で平均が5分41秒だとしても、最初の5kmは5分43秒から5分45秒程度の感覚で入り、呼吸と脚の状態が落ち着いてから平均へ寄せる考え方のほうが後半に響きにくいです。
ここで無理に帳尻を合わせようとすると、周囲を追い越す回数が増えて余計な体力を使い、しかも体感では楽に見えるためオーバーペースに気づきにくく、30km手前でそのツケが出やすくなります。
序盤の数秒を惜しまない姿勢は、結果的に後半の大失速を防ぐ保険になるので、タイム計算を守ることと前半を急ぐことを同一視しないよう意識しておくとレース全体がまとまりやすくなります。
給水と補給を計画に含める
フルマラソンタイム計算を本番で使うときに見落とされやすいのが給水と補給で、机上では一定速度で42.195km進む前提でも、実際には水分補給やジェル摂取で小さな減速が必ず発生します。
このロスを嫌って補給を雑にすると、終盤でエネルギー不足や脱水の影響を受けやすくなり、数秒の節約どころではない失速へつながるため、タイムを守るためにも補給を計画に組み込むべきです。
- 給水所では時計より安全な受け取りを優先する
- ジェルは苦しくなる前の予定ポイントで入れる
- 飲みにくい区間で無理に一気飲みしない
- 補給後の数百mで平均へ戻せば十分と考える
補給による減速は局所的なものなので、1km単位で取り返そうとする必要はなく、次の5km区間の中で自然に戻せばよいと理解しておくと、焦りからくる無駄な加速を避けられます。
むしろ補給を計画どおり実行できるランナーほど30km以降の落ち幅が小さくなりやすいので、タイム計算は補給を削るための数字ではなく、補給を含めて結果を整えるための設計図として使うべきです。
30km以降の失速幅を想定する
フルマラソンでは30km以降にペースが落ちる可能性を前提にしておくほうが現実的で、完璧なイーブンを目指すより、後半でどの程度の変動なら許容範囲かを決めておくと精神的にも楽になります。
失速をまったく認めない設計は、少し落ちた瞬間に計画破綻だと感じやすく、その焦りがフォームの乱れや無理な再加速を招くため、終盤には別の評価軸を持つことが結果につながります。
| 区間 | 見るべきポイント | 判断のしかた |
|---|---|---|
| 25kmまで | 呼吸と脚の余裕 | 余裕が薄いなら無理に貯金を作らない |
| 25km〜30km | 補給後の回復感 | 回復しないなら目標維持より失速最小化を優先する |
| 30km〜35km | フォームの維持 | 腕振りと接地を整えて大崩れを防ぐ |
| 35km以降 | 平均より完走戦略 | 区間ごとの持ち直しを重視して走り切る |
このように区間ごとに見るポイントを変えると、終盤は秒単位の管理から、崩れない走りの維持へ意識を切り替えやすくなり、結果として想定以上の失速を防ぎやすくなります。
マラソン後半は根性だけで押し切る局面ではなく、計算した数字をどう守り、どこで諦めず、どこで柔軟に修正するかの局面なので、30km以降の判断基準を事前に用意しておく価値は大きいです。
練習記録から現実的な予想タイムを出す

目標タイムを先に決める方法がある一方で、今の自分がどれくらいで走れそうかを練習や短い大会結果から逆算したい人も多く、その場合は10kmやハーフの記録を使った予想が役に立ちます。
もちろん予想は万能ではありませんが、直近の走力を数値で捉え、強すぎる目標設定を避けるには十分実用的で、特に初マラソンや久しぶりのフルでは安全側の判断材料として機能します。
Glicoのランニング解説では、10kmとハーフの記録に簡易係数を掛けてフルの目安を出す考え方が紹介されており、練習記録からタイム帯を考える際の参考になります。
10kmの記録から予想する
10kmの自己ベストや直近のレース結果があるなら、それを起点にフルの目安を出す方法は取り組みやすく、短い距離しか経験がない人でも現状把握の入口として使いやすいです。
Glicoの解説では、10kmタイムにおおむね4.6〜4.8を掛ける簡易式が示されており、スピード型かスタミナ型かで幅は出るものの、過大な期待を抑える判断材料として有効です。
| 10kmタイム | 係数4.6の目安 | 係数4.8の目安 |
|---|---|---|
| 50分 | 3時間50分前後 | 4時間00分前後 |
| 55分 | 4時間13分前後 | 4時間24分前後 |
| 60分 | 4時間36分前後 | 4時間48分前後 |
| 65分 | 4時間59分前後 | 5時間12分前後 |
この表は、10kmで速くてもフルでは持久力不足で苦しくなる可能性があることを前提にした見方なので、速い側の数字だけを採用せず、幅で理解する姿勢が失敗防止につながります。
特に10kmは勢いで押し切れる部分があるため、フルの目標へ直接読み替えるのではなく、ロング走や補給耐性の有無も合わせて見て、下限から上限までのどこに自分が入るかを考えるべきです。
ハーフの記録から予想する
ハーフマラソンの記録は10kmより持久力の要素を反映しやすいため、フルの予想タイムを考える材料としては一般に扱いやすく、現実的な目標設定へつなげやすい指標になります。
Glicoの目安では、ハーフタイムにおおむね2.07〜2.20を掛けてフルの予想帯を出す考え方が示されており、後半の落ち込みが少ない人ほど低い係数寄り、失速しやすい人ほど高い係数寄りで考えます。
たとえばハーフ1時間50分なら、かなり順調に組み立てられて3時間47分前後、失速リスクを見込むなら4時間を少し超えるくらいが目安になり、サブ4を狙えるかどうかの判断材料になります。
ただし、ハーフで出た記録が涼しい時期の好条件によるものか、アップダウンの少ないコースだったのかでも意味合いは変わるので、単純な乗算だけでなく記録の質まで見て目標へ反映させることが大切です。
持久係数で妥当性を見る
すでにフルの目標タイムがあるなら、逆にその数字が今の自分に対して妥当かを確認する方法として、目標フルタイムを10kmやハーフのタイムで割る持久係数の見方も役立ちます。
Glicoの記事では、目標フルタイムを10kmタイムで割ると4.5前後、ハーフタイムで割ると2.05前後が一つの目安とされており、ここから大きく外れる場合は目標が高すぎる可能性を考えられます。
- 10km基準で4.5前後なら挑戦可能な範囲かを検討しやすい
- ハーフ基準で2.05前後なら現実性を判断しやすい
- 係数が大きすぎるなら目標を一段下げる余地がある
- 係数が小さすぎるなら上方修正できる可能性もある
この係数は絶対評価ではなく、あくまで現状と目標の距離感を知るための物差しなので、気温、コース、直近の疲労度まで考えながら安全側に使うほうが実務的です。
それでも、何となくサブ4を目指すより、今の10kmやハーフの記録に対してその目標が遠いのか近いのかを把握できるだけで、練習の方向性と大会選びの精度はかなり上がります。
計算が外れやすい場面を知っておく
フルマラソンタイム計算は便利ですが、数字どおりに走れない理由まで理解していないと、当日に少しズレただけで失敗だと感じやすくなり、必要以上に焦ってレースを崩してしまいます。
実際には、時計表示の誤差、走行ラインの違い、気温や風、アップダウン、補給の慣れ不慣れなど、計算そのものでは吸収しきれない要素があり、それらを事前に知っておくことが本番の安心につながります。
ここでは、とくに多くのランナーが戸惑いやすい三つのズレとして、GPSと公認距離の差、天候やコース条件の影響、そして初心者がやりがちな計画ミスについて整理しておきます。
GPS誤差と走行ラインを理解する
レース本番で時計の距離表示が42.195kmを超えるのは珍しいことではなく、その理由の一つはGPSの測位誤差に加えて、実際には最短ラインどおりに走れず、カーブや追い越しで距離が伸びるためです。
セイコーの解説では、マラソンコースは道路端から300mmの最短ラインを基準に測られると説明されており、外側を走れば実走距離が長くなることがわかります。
| ずれる要因 | 起こりやすいこと | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| GPSの測位誤差 | 1kmごとの表示が微妙に前後する | 公式表示や区間全体で判断する |
| カーブで外へ膨らむ | 総距離が長くなりやすい | 無理のない範囲で短いラインを意識する |
| 追い越しと位置取り | 細かな蛇行で体力を使う | 人の少ないレーンを早めに見つける |
| トンネルや高架 | 時計ラップが乱れやすい | 瞬間値より5km単位を優先する |
この違いを知らずに時計だけで計算すると、1kmごとのラップが合わない理由を自分の失速だと誤解しやすいので、公式の距離基準と時計の特性は分けて理解しておくべきです。
だからこそ、フルマラソンタイム計算を本番で使うときは、1kmごとの瞬間ラップより5km通過や公式距離表示を重視し、時計のズレに感情を振られすぎない姿勢がとても重要になります。
天候とコース難易度を織り込む
同じ走力でも、気温が高い日、向かい風が強い日、アップダウンの多いコースでは、机上で計算した平均ペースを維持する難しさが大きく変わるため、条件補正なしの数字を絶対視するのは危険です。
特に春先や都市型大会では、スタート時は涼しくても後半に日差しが強くなることがあり、前半のペースが適正でも終盤に一気に苦しくなるので、条件が厳しい日は攻めすぎない判断が欠かせません。
- 気温が高い日は平均維持より失速幅の最小化を優先する
- 向かい風区間では単独走よりリズム維持を優先する
- 上りで時計を守ろうとして無理に踏まない
- 下りで取り返しすぎて脚を削らない
条件が悪い日に数字を守れないことは失敗ではなく、むしろ条件に応じて計画を修正できるほうがレース運びとしては上級であり、冷静な補正こそ完走率と達成率を高める行動です。
大会選びの段階でも、フラットなコースなのか、橋や坂が連続するのか、例年の気温はどうかを調べておくと、同じ4時間目標でも実際に必要な余裕度をより現実的に設定できます。
初心者がやりがちな失敗を避ける
初心者がフルマラソンタイム計算で失敗しやすい最大の理由は、計算式を覚えたことで準備が終わった気になり、実際にはそのペースで長く走る練習や補給の確認が十分でないまま本番へ入ってしまうことです。
また、1kmラップをぴったりそろえることだけに集中し、給水を飛ばしたり、混雑区間で無理に抜いたりすると、数字は合っていても体力の使い方が悪くなり、後半に大きく崩れやすくなります。
さらに、レース序盤の遅れを取り返そうとして想定以上にペースを上げる行為も典型的な失敗で、マラソンでは数十秒の借金より、取り返しに行く過程で使う余計なエネルギーのほうが痛手になりやすいです。
タイム計算を味方にするためには、数字を守ることではなく、数字を使って落ち着いて判断することが本質だと理解し、実戦では完璧さより再現性を優先する姿勢を持つことが結果につながります。
フルマラソンタイム計算を結果につなげる考え方
フルマラソンタイム計算の核は、目標タイムを42.195kmで割って1kmペースを出し、その数字を5km、10km、ハーフ、30kmの通過目安へ落とし込むことで、レース全体を管理可能な単位へ分解することにあります。
ただし、計算はあくまで出発点であり、練習記録から見た妥当性、当日の気温やコース条件、給水や補給のロス、GPS誤差や走行ラインの違いまで含めて補正してこそ、現場で使える数字になります。
目標設定に迷うときは、10kmやハーフの記録から予想帯を出し、強気すぎる設定を避けながら、完走率の高いタイム帯から成功体験を積むほうが、その後のサブ5、サブ4.5、サブ4への近道になります。
最終的には、フルマラソンタイム計算を暗記項目として終わらせず、自分の走力と大会条件に合わせて調整する判断材料として使えるようになることが、数字を結果へ変えるいちばん大切なポイントです。



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